過去夢の少女
昨日私と恵が自殺セットを片付けて体育館倉庫を出たあと、彼女たちが入っていったみたいだ。

そこにいたのは河村結夏と、異様な臭いだった。

なにがあったのか知らない彼女たちは河村結夏がここで授業をサボり、トイレに行きたくなっても出ていくことができず、そのままおしっこをしてしまったと思っているみたいだ。

授業をサボったからって、おもらしまでするはずがないけれど普段の行いが悪かったせいで河村結夏になにが起こったのかは誰も想像しないみたいだ。

「なんだか面白いことになってきたね」
恵が近づいてきて耳打ちしてくる。
私は小さく頷いた。

自分たちがやっていることは復讐だけれど、彼女たちのはただのイジメだ。

どうせチマチマとしたつまらないものだろうけれど、それを休憩時間のたびにやられたらジワジワと追い詰められていくはずだ。

その思惑通り、彼女たちは事あるごとに河村結夏を攻撃しはじめた。
歩いているときに足をひっかけるとか、わざと机を蹴っていくとか。

「あの子たち見た目は派手だけど、やることは地味だね」
トイレに入ったとき、恵が愚痴っぽく言った。
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