過去夢の少女
☆☆☆

「お母さん、来週ラーメン屋の面接に行ってくるね」
夕飯の時、テレビを見ているお母さんへ向けて言った。

学校から帰ってきたときに試しにラーメン屋へ電話を入れてみたら、来週面接に来るように言われたのだ。

元々店長さんとは仲がいいから、歓迎するとも言ってもらえた。
面接は形式上に必要なことだから一応やっておくということだった。

「あら、そうなの?」
お母さんが嬉しそうな視線をこちらへ向けた。

やっぱり、生活が少しでも豊かになる方が嬉しいみたいだ。
「うん。休日がメインになると思う」

「そう。でも無理しちゃダメよ? 体を壊したら元も子もないんだから」
「それはお母さんだって同じでしょう?」

むしろ、若い私の方がもっと頑張ることができるはずだ。
学校の勉強だけで満足している子だって、ほとんどいないのだし。

「お母さんはまだまだいけるわよ」
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