過去夢の少女
「うん。あれをまた見たの」
「過去の夢を見たってこと?」

「そうだよ。信じられないかもしれないけれど、本当に持っている力なの。子供の頃から衰えてもいないよ」

「そう……なんだ」
怪訝そうな顔つきになりながらも否定しないのは、友達に嫌われたくないからだろう。

言いたいことを押し殺すことで友人関係を続けようとしている。
「昨日も夢を見たの。お母さんが高校生時代の頃の夢だった」
「そんな昔の夢?」

「うん。だけど今の自分にとって重要なことしか夢には見ないの。つまり、お母さんの高校時代の出来事が、今の私に影響しているってこと」

その説明に恵は首を傾げた。
「それってどういうこと?」
私は夢の中で河村浩司という男を見たこと。

そして彼はどうやらお母さんをイジメていたらしいことを恵みに離した。
「イジメ……」
恵が小さく呟いて右手で自分の口を覆った。
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