過去夢の少女
「それはわかってるけどさ……」

「何年経っても忘れられないし、ずっと胸が痛いし、またいつイジメのターゲットになるかって毎日怯えてる!」

恵の声が大きく荒くなっていく。
その目には涙まで浮かんでいて、私は言葉を失った。

「イジメは絶対に許しちゃダメなんだよ! 何年経ってても関係ない! 絵梨のお母さんは今でも心を痛めてるはずだよ!」

必死な恵に私は頷くことしかできなかった。
本当にそうだろうか?

過去イジメられていたとしても、それ以降も様々な困難に立ち向かってきた。
過去のことを振り返る暇だってなかったんじゃないだろうか。

そう思っても、言えなかった。

今の恵はイジメから開放されているはずだけれど、ほんの一月ほど前まではその渦中にいたのだから。

「絵梨、私復讐するなら手伝うからね?」
恵は真剣な眼差しでそういったのだった。
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