過去夢の少女
メモしておく
河村結香の父親は私のお母さんをイジメていた。
そう考えると腸が煮えくり返ってきてなにも考えられなくなった。

同じ高校、同じクラスになったということは、両親同士がどこかでバッタリ顔を合わせるかもしれないということだ。

そうなった時、私のお母さんはどんな気持ちになるだろう。
昔の苦い記憶を思い出してまた傷つくことになるかもしれない。

「あら、今日はハンバーグ？」
そんな声が聞こえてきて我に返ると、いつの間にかお母さんが買ってきていた。

買い物袋をテーブルに置いてキッチンで手を洗っている。
「今日は野菜炒め……」

と、言いかけてまな板の上の肉がミンチになってしまっていることに気がついた。
これじゃハンバーグだと思われても仕方ない。

「そうだよ。ハンバーグだよ」
「それじゃ昨日の残りのカレーも温めて、ハンバーグカレーにしましょう」

お母さんは楽しげな声でそういったのだった。

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