過去夢の少女
☆☆☆

お母さんの笑顔を守りたい。

お父さんを亡くしてしまった時のお母さんはさすがに消沈していて、その背中に声をかけることもできなかった。

暗く沈んだ毎日だったけれど、そこからどうにか浮き上がってきて今の家庭ができているんだから。

お母さんの笑顔を守れるのは私しかいない。

夕飯のときにそれとなくお母さんの学生時代のことを質問したけれど、高校時代の話は1度も出てこなかった。

小学校の時運動会のリレーでトップになったことや大学に入学してお父さんと出会ったことなど、楽しい思い出ばかりが話題に上がった。

意図的に高校時代の話をしなかったのかもしれない。
そんな風に考えながら自分のベッドへ潜り込んでスマホを開く。
中学に入学した頃に買ってもらったスマホはもう4年使い続けている。

周りは何度も機種変更していたりするけれど、最初に持ったこのスマホには愛着もあるし、まだ不便さを感じないので使い続けていた。

画面を見ると昔から中のいい友人らから連絡が来ていた。
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