過去夢の少女
みんなバラバラに進学してしまったから、不安を抱えている子もいるみたいだ。
そのひとつひとつに返事をして寝ようかと思ったとき、新着メッセージが届いた。

それは恵からのメッセージだった。
今日のことを思い出して少し重たい気持ちになりながらも、メッセージを開く。

《恵:今日もまた過去夢を見そう?》
《絵梨:さぁ、わからない》
私は素直に答えた。

過去夢は見ようと思って見れるものじゃない。
自分にとって必要なときに見る夢だ。
《恵:もし夢を見たらメモしておいてほしい》

《絵梨:別にいいけど、なにに使うの?》
《恵:まだ考えてないけど、役立ちそうだから。それじゃ、おやすみ》
恵にしては珍しく一方的にメッセージは終わってしまった。

過去夢をメモしておいてどうするのか気になったが、その程度なら負担もない。
それに、自分の気持を整理するためにも良さそうだ。
私はそう思って目を閉じたのだった。
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