過去夢の少女
☆☆☆

自分はよくないことをしているとわかっているはずなのに、河村結夏の靴を隠した瞬間胸の辺りがスッとした。

席に座った私は自分の胸に手を当てて首を傾げる。
人をイジメることなんてしたくないはずなのに、どうしてだろう。

「絵梨、どうかしたの?」
1人で悩んでいるとすぐに恵が声をかけてきた。

恵は本当に私のことをよく見ていると関心してしまう。
「ううん。別に、なんでもないよ」

「本当に? なんだか泣きそうな顔してたけど?」
そう聞かれてギクリとする。
そんな顔になっていただろうかと、自分の両手で頬を包み込んでみる。

「私って嫌なことしてるって自分でわかってるんだけど、なんだか胸の辺りがスッとしてて」

モゴモゴと口の中で説明すると恵がパッと笑顔になった。

「それはきっと今の絵梨と過去のお母さんの気持ちがリンクしてるからじゃないかな?」
「リンク?」
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