過去夢の少女
楽しみになる
夕飯作りは今日は大成功だ。
今日のメニューは簡単ロールキャベツ。
キャベツにお肉を巻くことなく、一緒に煮込むだけのスープみたいなものだ。

「あら絵梨、今日はなんだか機嫌がいいのね?」
鼻歌を歌いながら料理していると、お母さんが帰ってきてそう言われた。
「えへへ。まぁ、学校が楽しいからかなぁ」

今日の河村結夏の泣きそうな顔を思い出すと、自然と笑みが溢れ出してきてしまう。

こんなの性格が悪い証拠だと思うものの、本能的に嬉しくなってしまうのだから抗えない。

「そうなの? よかったわ。お母さん、絵梨が学校に馴染めるかちょっとだけ心配してたの」

「どうして? 高校は地元だから、知ってる子も結構いるよ?」
「そうだけど。県外から来た意地悪な子がいるかもしれないじゃない?」

そう言うお母さんは眉間にシワを寄せている。
まるで嫌な過去を思い出してしまったかのような表情に、胸が痛くなる。

大丈夫だよお母さん。
お母さんの復讐は、ちゃんと私が果たすことに決めたんだから。

心の中でそう言って笑顔をつくる。
「大丈夫だよお母さん。みんないい子ばかりだから」

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