過去夢の少女

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恵が動き出したのはクラスメートたちがお弁当を食べ終えた頃だった。

みんなでおしゃべりをして時間を潰していたとき、教室後方では髪の毛を染めたりプアスとつけたりしている派手なグループが大騒ぎしていた。

もちろん、彼らもすでに河村結夏の噂について知っているはずだ。
「絵梨、行くよ」
恵に促されて席を立つと、恵は躊躇なく彼らへと近づいていく。

あまり関わり合いになりたくないと思っていた私は半歩後ろで立ち止まった。
「ねぇ、君たちももう噂は聞いた？」
突然の質問に彼らは会話を止めてこちらへ視線を向けた。

「噂って、河村さんの？」
中でも一番可愛い女子生徒が首をかしげて聞いてきた。

ちゃんと自分の可愛さを自覚している女子の仕草だ。
「あぁ。聞いたけど、どうせデマだろ？　くだらねぇ」

以外にも食いついていなかったのはこの中で一番リーダー格の飯田という男子生徒だった。

飯田は派手な上にボクシングをしているそうで、その体格はずば抜けてよかった。
「それが……私の友達が無理やりパパ活やらされてたんだよね」