過去夢の少女
恵が深刻そうな表情になり、飯田を見上げる。
体格差のある相手に堂々と嘘をつける恵に驚き、私はなにも言えなかった。

「本当にか?」
恵が頷く。

その目には涙まで浮かんでいて、同情的な雰囲気が周りを取り囲んだ。
「それ最低。友達大丈夫だった?」

「今は引きこもってて、高校にも行ってないみたい」
「ねぇ可愛そうじゃん。助けてあげようよぉ」

可愛い子が飯田の腕にすがりつく。
飯田はため息を吐き出して1人で席に座っている河村結夏へ視線を向けた。

「嘘だったら容赦しねぇからな」
飯田はそう言うとなにかを準備するために教室を出たのだった。
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