過去夢の少女
夢見る
帰宅するとお母さんがすでに夕飯を作っているところだった。
「おかえり絵梨。入学式お疲れさま」
「ただいま。私も料理手伝うよ」

新しい教科書やノートが入った重たいカバンを床におろしてキッチンで手を洗う。
「入学式のとき隣に座っていた子、もしかして広中さん?」

「そうだよ! 恵だった。同じクラスだったんだよ」
お母さんも保護者席から見ていて恵だと気がついていたことが嬉しかった。

小学校の頃はよく恵を家に呼んでいたから、それで覚えていてくれたみたいだ。
「それは良かったわね。あなたたち仲が良かったし、再開できたのね」

「うん!」
料理の手伝いをしながらこれからの高校生生活に思いを馳せる。

恵が一緒ならきっととびきに楽しいものになるはずだという確信があった。
また、昔みたいに沢山遊びに出ることができるはずだ。

「そういえばさ、落ち着いたらアルバイトを探そうと思ってるんだよね」
食卓にはカレーとサラダが並んだ。
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