花冠の聖女は王子に愛を歌う
「ええええええええええ!?」
リナリアはびっくり仰天し、自分の左手を見つめて大声を上げた。
心の底から奇跡を願ったものの、いざ現実に起こるとすんなり受け入れられるはずもなかった。
「なんだ!? どうした!?」
目を閉じて子守唄に聞き入っていたイスカはびくっと肩を震わせ、弾かれたように立ち上がった。
リナリアは左手を裏返し、彼の目前に《光の花》の紋章が浮かぶ手の甲を突きつけた。
ついでに空いた右手で花瓶を指さし、言う。
「あの花瓶の黄色の花!! さっきまで蕾だったんです!!」
イスカは目をぱちくりしながら花瓶とリナリアの左手の甲を交互に見た。
「……お前ほんとに《花冠の聖女》だったのかよ!!」
「そうみたいです。自分でもびっくりしたんですけども」
言い終わるよりも早くイスカはリナリアの左手を掴み、しげしげと紋章を眺めた。
現実が信じられないらしく、リナリアの手首の角度を変えて紋章の色味を確かめたり、紋章に直接触れたりしている。
ただなされるがままにしていると、イスカはやがて手を離し、真剣な眼差しで問いかけてきた。
リナリアはびっくり仰天し、自分の左手を見つめて大声を上げた。
心の底から奇跡を願ったものの、いざ現実に起こるとすんなり受け入れられるはずもなかった。
「なんだ!? どうした!?」
目を閉じて子守唄に聞き入っていたイスカはびくっと肩を震わせ、弾かれたように立ち上がった。
リナリアは左手を裏返し、彼の目前に《光の花》の紋章が浮かぶ手の甲を突きつけた。
ついでに空いた右手で花瓶を指さし、言う。
「あの花瓶の黄色の花!! さっきまで蕾だったんです!!」
イスカは目をぱちくりしながら花瓶とリナリアの左手の甲を交互に見た。
「……お前ほんとに《花冠の聖女》だったのかよ!!」
「そうみたいです。自分でもびっくりしたんですけども」
言い終わるよりも早くイスカはリナリアの左手を掴み、しげしげと紋章を眺めた。
現実が信じられないらしく、リナリアの手首の角度を変えて紋章の色味を確かめたり、紋章に直接触れたりしている。
ただなされるがままにしていると、イスカはやがて手を離し、真剣な眼差しで問いかけてきた。