花冠の聖女は王子に愛を歌う
「――話は全て聞かせていただきましたわ!!」

 バーン!!

「!!!??」
 蝶番を吹っ飛ばす勢いで居間の扉が開かれ、抱き合っていたリナリアとイスカは即座に離れて距離を取った。

「な、なんだ?」
 動揺しているイスカと共に顔を向ければ、廊下にバークレイン一家が勢揃いしていた。

 先頭にいるエルザは左手に光り輝く謎の立方体を持っていて、ヴィネッタは申し訳なさそうな笑みを浮かべ、イザークは何故か渋面。
 察するに、ヴィネッタとイザークはエルザに付き合わされているらしい。

「覚醒おめでとう、リナリア。やはりあなたが《花冠の聖女》でしたのね」
 言いながらエルザが歩み寄ってきた。

「ありがとうございます」
 リナリアが左手の甲を見せると、エルザは微笑んだ。
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