花冠の聖女は王子に愛を歌う
「はい。金も地位も要りません。王妃の座にも興味はありません。私の望みはイスカ様の妻になること、ただそれだけです」
再び即答すると、しばらくジョシュアは沈黙した。
「嘘だろ……おれと結婚したいって、本気なのか……」
リナリアの隣ではイスカが何やら呟き、片手で顔を覆っている。
彼の耳は赤くなっているようだが、そこはあえて気づかないふりをした。いまはジョシュアとの会話が大事だ。
《……なるほど、君の愛情と覚悟は本物のようだな。よろしい。大博打を打つことにしよう。バークレインは君に賭ける。リナリア、君は私の養子になれ》
「…………はい?」
リナリアは目をぱちくりさせたが、ヴィネッタは意味ありげに笑っている。
もしかしたらこれは彼女がジョシュアに献策したのかもしれない。
《貴族でなければ人ではない。たとえ貴族であっても自分よりも家柄が低ければ見下して良い――王宮に仕える貴族の中にはそんな馬鹿げた思想を持つ者がいるのだ、残念ながらな。イスカ王子と共に王宮へ乗り込むと言うのなら、大貴族バークレインの養女という肩書きは強力な盾となるだろう。バークレインの養女となれば、有事の際に私が守ることもできる》
「……願ってもない話ですが……良いのでしょうか?」
《構わん。聖女を養女として迎えるなど、これほど名誉なことはない。バークレインにとっても大いに益がある》
「では、是非。よろしくお願い致します」
リナリアは頭を下げた。
再び即答すると、しばらくジョシュアは沈黙した。
「嘘だろ……おれと結婚したいって、本気なのか……」
リナリアの隣ではイスカが何やら呟き、片手で顔を覆っている。
彼の耳は赤くなっているようだが、そこはあえて気づかないふりをした。いまはジョシュアとの会話が大事だ。
《……なるほど、君の愛情と覚悟は本物のようだな。よろしい。大博打を打つことにしよう。バークレインは君に賭ける。リナリア、君は私の養子になれ》
「…………はい?」
リナリアは目をぱちくりさせたが、ヴィネッタは意味ありげに笑っている。
もしかしたらこれは彼女がジョシュアに献策したのかもしれない。
《貴族でなければ人ではない。たとえ貴族であっても自分よりも家柄が低ければ見下して良い――王宮に仕える貴族の中にはそんな馬鹿げた思想を持つ者がいるのだ、残念ながらな。イスカ王子と共に王宮へ乗り込むと言うのなら、大貴族バークレインの養女という肩書きは強力な盾となるだろう。バークレインの養女となれば、有事の際に私が守ることもできる》
「……願ってもない話ですが……良いのでしょうか?」
《構わん。聖女を養女として迎えるなど、これほど名誉なことはない。バークレインにとっても大いに益がある》
「では、是非。よろしくお願い致します」
リナリアは頭を下げた。