花冠の聖女は王子に愛を歌う
《わかった。明日早速養子縁組の手続きを行おう。手続きに関する詳しい話はまた後にするとして、リナリア。君がやるべきことは一つだ。王宮の中庭にある枯れた『光の樹』を蘇らせること。王家に生まれた双子の悲劇を終わらせたいと願うのならば、これができなければ話にならん》

「はい」
 リナリアは大真面目に頷いた。

《『光の樹』を蘇らせることができれば、マナリス教会の聖女たちも君の実力を認めざるを得ない。すなわち、《治癒の聖女》フローラとの交渉の余地が生まれる。瀕死の重病人すら蘇らせる彼女の協力を得ることができれば、セレン王子を蝕む病魔を取り除き、完全な健康体にすることができるだろう》

「!!!」
 思わずイスカと顔を見合わせる。

「……頼んだぞ?」
 イスカはリナリアの両肩をがしっと掴んだ。目が本気だ。

「頑張ります……」
(せ、責任重大だわ……)
 冷や汗が背中を伝い落ちていく。
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