花冠の聖女は王子に愛を歌う
(イスカ様!?)
イスカが分裂して二人になったのかと思うほど、その美青年はイスカによく似ていた。
「セレン!!」
イスカが駆け寄って呼び掛けると、美青年は――セレンは閉じていた目を見開き、イザークに背負われたまま上体を起こした。
「……イスカ」
少しかすれた声で彼は弟の名前を呼んだ。
みるみるうちに瞳に涙が浮かび、頬を伝い落ちていく。
「……良かった。無事で……本当に……」
泣きながらセレンは微笑んだ。
「馬鹿だな、おれがそんな簡単に死ぬわけねえだろ。子どもじゃねえんだから泣くなよ」
そう言うイスカも泣きそうな顔をしている。
「そうだね、すまない。エルザ、ありがとう」
「どういたしまして」
ハンカチで涙を拭ってくれたエルザに礼を言って、セレンはまた目を閉じ、イザークにもたれかかった。
「セレン? おい、大丈夫か?」
「……大丈夫。安心して、気が抜けただけ」
不安そうなイスカの問いかけに、目を閉じたままセレンは答えた。
イスカが分裂して二人になったのかと思うほど、その美青年はイスカによく似ていた。
「セレン!!」
イスカが駆け寄って呼び掛けると、美青年は――セレンは閉じていた目を見開き、イザークに背負われたまま上体を起こした。
「……イスカ」
少しかすれた声で彼は弟の名前を呼んだ。
みるみるうちに瞳に涙が浮かび、頬を伝い落ちていく。
「……良かった。無事で……本当に……」
泣きながらセレンは微笑んだ。
「馬鹿だな、おれがそんな簡単に死ぬわけねえだろ。子どもじゃねえんだから泣くなよ」
そう言うイスカも泣きそうな顔をしている。
「そうだね、すまない。エルザ、ありがとう」
「どういたしまして」
ハンカチで涙を拭ってくれたエルザに礼を言って、セレンはまた目を閉じ、イザークにもたれかかった。
「セレン? おい、大丈夫か?」
「……大丈夫。安心して、気が抜けただけ」
不安そうなイスカの問いかけに、目を閉じたままセレンは答えた。