花冠の聖女は王子に愛を歌う
「君にはお礼を言いたかったんだ。魔物に姿を変えられてしまったイスカを助け、ここまで連れて来てくれて本当にありがとう。君と出会わなければイスカは今頃どうなっていたことか……」
「いえいえ、そんな。私のほうこそ、イスカ様には感謝しているんです」
これまでの経緯を話すと、セレンは興味深そうに耳を傾けた。
「そうか。イスカが一方的に救われたとばかり思っていたけれど、イスカに救われたのはリナリアも一緒だったのか。互いが心の支えだったんだね」
「はい。イスカ様のおかげで頑張れました」
「それはこっちの台詞だけどな」
「いえ、私のほうが助かったんですよイスカ様」
「いや、お前がいなきゃおれはいまでも魔物として森をさまよって――」
「ふふ。君たちは本当に仲が良いんだねえ。愛が伝わってくるよ」
言い合っていると、セレンは堪えきれなくなったように口元に手をやって、くすくす笑った。
外見は非常に良く似ていても、やはりイスカとは別人なのだと実感する。
こんな上品な笑い方は、イスカは絶対しない。
「ええ、セレン様。聞いてくださいませ。この二人ときたら、隙あらば抱き合っておりますのよ。わたくし、この目で見ましたもの」
エルザが上体を寄せてセレンに耳打ちした。
本当? という顔でセレンに見つめられて、リナリアは真っ赤になった。
「いえいえ、そんな。私のほうこそ、イスカ様には感謝しているんです」
これまでの経緯を話すと、セレンは興味深そうに耳を傾けた。
「そうか。イスカが一方的に救われたとばかり思っていたけれど、イスカに救われたのはリナリアも一緒だったのか。互いが心の支えだったんだね」
「はい。イスカ様のおかげで頑張れました」
「それはこっちの台詞だけどな」
「いえ、私のほうが助かったんですよイスカ様」
「いや、お前がいなきゃおれはいまでも魔物として森をさまよって――」
「ふふ。君たちは本当に仲が良いんだねえ。愛が伝わってくるよ」
言い合っていると、セレンは堪えきれなくなったように口元に手をやって、くすくす笑った。
外見は非常に良く似ていても、やはりイスカとは別人なのだと実感する。
こんな上品な笑い方は、イスカは絶対しない。
「ええ、セレン様。聞いてくださいませ。この二人ときたら、隙あらば抱き合っておりますのよ。わたくし、この目で見ましたもの」
エルザが上体を寄せてセレンに耳打ちした。
本当? という顔でセレンに見つめられて、リナリアは真っ赤になった。