花冠の聖女は王子に愛を歌う
イスカは今夜、イザークの手を借りて王宮に行く。
イスカではなく、セレンとして。
そしてリナリアは明日、陽が上ってからエルザと共に王宮へ行く手はずになっていた。
《花冠の聖女》が王宮に行くと何故かセレンが回復し、セレンは聖女に礼を述べて跪く。
《花冠の聖女》に癒しの力はないが、そのほうが演出としては効果的だし、より聖女の神秘性と価値が高まるだろうということで、そういう筋書きになった。
「ああ。先に言っとくが『そんなことしなくていい。臥せるばかりで何の役にも立たないのに国民の血税を浪費して十七年も生きたんだからもう十分だ。どうか私のことは見捨ててリナリアと自由に生きて欲しい。イスカが幸せなら私はそれで満足だ』とか言ったらぶん殴るからな?」
イスカは右手を握り、作った拳を掲げてみせた。
イスカではなく、セレンとして。
そしてリナリアは明日、陽が上ってからエルザと共に王宮へ行く手はずになっていた。
《花冠の聖女》が王宮に行くと何故かセレンが回復し、セレンは聖女に礼を述べて跪く。
《花冠の聖女》に癒しの力はないが、そのほうが演出としては効果的だし、より聖女の神秘性と価値が高まるだろうということで、そういう筋書きになった。
「ああ。先に言っとくが『そんなことしなくていい。臥せるばかりで何の役にも立たないのに国民の血税を浪費して十七年も生きたんだからもう十分だ。どうか私のことは見捨ててリナリアと自由に生きて欲しい。イスカが幸せなら私はそれで満足だ』とか言ったらぶん殴るからな?」
イスカは右手を握り、作った拳を掲げてみせた。