花冠の聖女は王子に愛を歌う
「セレン様。受けた恩を返したいと願われるのならば、ここに一番恩を返すべき女性がいると思うのですが」
リナリアは立ち上がり、エルザの両肩を掴んで前に押し出した。
「ちょっと、リナリア!? あなたさっきから何を――」
「ご存じなかったかもしれませんが、半年ほど前から王宮はセレン様の薬の支給を止めていました。代わりに陰から手を回し、薬を提供していたのはエルザ様です」
リナリアは早口で暴露した。
「リナリア! 止めなさい、わたくしは恩を売りたいわけでは――」
「いまの話は本当か、エルザ」
真顔で尋ねられたエルザはぴたっと口を閉じた。
困り果てたような顔をした後、観念して頷く。
「……何故そんなことを?」
「何故って、その……お慕いしておりましたので……」
蚊の鳴くような声での返答だったが、セレンの耳にはしっかり届いたらしい。
リナリアは立ち上がり、エルザの両肩を掴んで前に押し出した。
「ちょっと、リナリア!? あなたさっきから何を――」
「ご存じなかったかもしれませんが、半年ほど前から王宮はセレン様の薬の支給を止めていました。代わりに陰から手を回し、薬を提供していたのはエルザ様です」
リナリアは早口で暴露した。
「リナリア! 止めなさい、わたくしは恩を売りたいわけでは――」
「いまの話は本当か、エルザ」
真顔で尋ねられたエルザはぴたっと口を閉じた。
困り果てたような顔をした後、観念して頷く。
「……何故そんなことを?」
「何故って、その……お慕いしておりましたので……」
蚊の鳴くような声での返答だったが、セレンの耳にはしっかり届いたらしい。