花冠の聖女は王子に愛を歌う
「……。エルザ。知っての通り、私は病弱で、王宮での立場も弱く、君に差し出せるものは何もない。君にはもっと相応しい人がいるだろう。教養と財産があって、どんな困難からも君を守ってくれるような――」
「いつかどこかで聞いたような台詞ですね、イスカ様。何故似なくて良いところが似てしまったのですか」
長々としたセレンの台詞を聞きながら、リナリアは小声でイスカに尋ねた。
「知るか」
イスカはそっぽ向いたものの、いかにもそれらしい、言い訳じみた言葉を並べ立てる双子の兄を見て堪らなくなったらしい。強制的に台詞を止めた。
「――私は君に幸せになってほしいと心から思って――」
「あーもういい。そういうのはどーでもいいから本心を言えよセレン。お前はエルザのことをどう思ってるんだ?」
「どうって……。だから、これ以上ないほど素敵な女性だと――」
「結婚したいのかしたくないのか、どっちだ」
再び台詞を断ち切ってイスカは問い詰めた。
エルザは涙目で俯いている。
好きな相手から暗に「お前とは結婚したくない」と言われたようなものなので、この反応は当然のことだった。
「いつかどこかで聞いたような台詞ですね、イスカ様。何故似なくて良いところが似てしまったのですか」
長々としたセレンの台詞を聞きながら、リナリアは小声でイスカに尋ねた。
「知るか」
イスカはそっぽ向いたものの、いかにもそれらしい、言い訳じみた言葉を並べ立てる双子の兄を見て堪らなくなったらしい。強制的に台詞を止めた。
「――私は君に幸せになってほしいと心から思って――」
「あーもういい。そういうのはどーでもいいから本心を言えよセレン。お前はエルザのことをどう思ってるんだ?」
「どうって……。だから、これ以上ないほど素敵な女性だと――」
「結婚したいのかしたくないのか、どっちだ」
再び台詞を断ち切ってイスカは問い詰めた。
エルザは涙目で俯いている。
好きな相手から暗に「お前とは結婚したくない」と言われたようなものなので、この反応は当然のことだった。