花冠の聖女は王子に愛を歌う
(ああ、本当はもっと大げさにお礼を言いたい! 素晴らしい仕事をしてくれた女官の皆さま一人一人に頭を下げ、握手して回りたい!! 私、つい昨日まで平民だったのに! 昨日ジョシュア様の養女になったばかりなのに!)
しかし、昨日エルザと共に入城したときからリナリアの演技は始まっているのだ。
『聖女らしく振る舞い、常に威厳を持つことを忘れるな、女官にへりくだるなどもってのほか』とエルザからは厳しく言われている。
「勿体ないお言葉です」
姿見の左に立つ侍女は嬉しそうに笑い、頭を下げた。
「さあ、イザーク様とエルザ様がお待ちでございます。行ってらっしゃいませ」
「行ってらっしゃいませ」
他の侍女たちも彼女に続いて頭を下げる。
「はい。行ってきます」
リナリアは立ち上がり、侍女が開けた扉をくぐった。
上等な生地を贅沢に使ったドレスはずっしりと重い。
久しぶりに履く踵の高い靴は慣れるまで少々時間がかかりそうだ。
いつもより遅い歩調で控えの間を通って廊下に出ると、壁際にイザークとエルザが立っていた。
しかし、昨日エルザと共に入城したときからリナリアの演技は始まっているのだ。
『聖女らしく振る舞い、常に威厳を持つことを忘れるな、女官にへりくだるなどもってのほか』とエルザからは厳しく言われている。
「勿体ないお言葉です」
姿見の左に立つ侍女は嬉しそうに笑い、頭を下げた。
「さあ、イザーク様とエルザ様がお待ちでございます。行ってらっしゃいませ」
「行ってらっしゃいませ」
他の侍女たちも彼女に続いて頭を下げる。
「はい。行ってきます」
リナリアは立ち上がり、侍女が開けた扉をくぐった。
上等な生地を贅沢に使ったドレスはずっしりと重い。
久しぶりに履く踵の高い靴は慣れるまで少々時間がかかりそうだ。
いつもより遅い歩調で控えの間を通って廊下に出ると、壁際にイザークとエルザが立っていた。