花冠の聖女は王子に愛を歌う
「でも、お願い。どうか、もう一度だけ人間を信じてほしい。もうあなたを傷つけたり、酷いことをする人間はいないわ。この国に生きるみんながあなたの目覚めを待っている。お願い。わがままを言うことを許して。どうか私に愛する人を救う力を与えて。私にはどうしても、あなたの助けが必要なの――」
繰り返し懇願した後、リナリアは身体を離して目を閉じ、全身全霊を込めて歌い始めた。
《光の樹》は対話を拒絶している。
たとえ声が枯れるまで歌ったとしても、人間不信に陥ってしまった《光の樹》が応じてくれるかどうかは賭けだ。
(それでも、私にできることは歌うことだけ。《光の樹》が応えてくれるまで、歌い続けるだけ)
それが唯一双子を救う手段だから、そうするしかない。
それに、人間に傷つけられたこの樹をこのまま放っておけなかった。
《花冠の聖女》となってから、リナリアは対話を望んだ植物《あいて》が抱いている感情をまるで自分のことのように感じる力を身に着けた。
この惨状が人間のせいだと言うのなら、リナリアは人間として《光の樹》を救う義務がある。
繰り返し懇願した後、リナリアは身体を離して目を閉じ、全身全霊を込めて歌い始めた。
《光の樹》は対話を拒絶している。
たとえ声が枯れるまで歌ったとしても、人間不信に陥ってしまった《光の樹》が応じてくれるかどうかは賭けだ。
(それでも、私にできることは歌うことだけ。《光の樹》が応えてくれるまで、歌い続けるだけ)
それが唯一双子を救う手段だから、そうするしかない。
それに、人間に傷つけられたこの樹をこのまま放っておけなかった。
《花冠の聖女》となってから、リナリアは対話を望んだ植物《あいて》が抱いている感情をまるで自分のことのように感じる力を身に着けた。
この惨状が人間のせいだと言うのなら、リナリアは人間として《光の樹》を救う義務がある。