花冠の聖女は王子に愛を歌う
《光の樹》の芽吹きを見届けた後、エルザは体調不良を理由にイザークの手を借りて公爵邸へと戻ってしまったが――もちろん体調不良というのは大嘘で、愛するセレンの世話を焼くためである――もしも彼女がこの場に居たらきっとこう言うだろう。「あなたは聖女で、わたくしの妹ですのよ? 自ら格を下げるような言動は慎みなさい!」
(そうだった、いまの私はバークレイン家の養女。私の行動はそのままバークレイン家の評価に繋がるわ。簡単に頭を下げてはいけない。堂々と振る舞わなければ!)
リナリアは頭を下げる代わりに、にっこり笑った。
「妃選考会ではお世話になりました。デイジー様がウィルフレッド様のお妃様に選ばれて本当に嬉しいです」
「ありがとう。でも……その言葉は本心かしら?」
不安そうな眼差しでデイジーがリナリアを見る。
「どういうことでしょうか?」
本気でわからず、リナリアは目を瞬かせた。
(そうだった、いまの私はバークレイン家の養女。私の行動はそのままバークレイン家の評価に繋がるわ。簡単に頭を下げてはいけない。堂々と振る舞わなければ!)
リナリアは頭を下げる代わりに、にっこり笑った。
「妃選考会ではお世話になりました。デイジー様がウィルフレッド様のお妃様に選ばれて本当に嬉しいです」
「ありがとう。でも……その言葉は本心かしら?」
不安そうな眼差しでデイジーがリナリアを見る。
「どういうことでしょうか?」
本気でわからず、リナリアは目を瞬かせた。