花冠の聖女は王子に愛を歌う
「……リナリアはクロエも共犯だと思っているの?」
「わかりません。けれど、そうでなければ良いとは思っています」
「……ええ。クロエはね、顔の傷跡と纏う空気のせいで誤解されやすいけれど、本当に真面目で、良く働く良い子なのよ。これまで誠心誠意私に仕えてくれたあの子が恐ろしい陰謀に関わっているかもしれないなんて……そんなわけないわ。私はクロエを信じている」
デイジーはきっぱり言って、決然と立ち上がった。
「少し待っていてちょうだい。クロエを呼んでくるわ」
「デイジー様、私どもが呼んで参ります」
侍女たちが慌てたように進み出た。
「いいえ。私が行きます。これからクロエとリナリアがどんな話をするのかわからないけれど、その内容次第では、クロエはそのまま兵士に連行されてしまうかもしれないのでしょう? これが最後になるのかもしれないのだから、少しクロエと話をさせてちょうだい」
侍女たちにかぶりを振って、デイジーは部屋を出て行った。
(デイジー様のためにもクロエは無関係であって欲しいけれど……)
廊下の向こうへと消えたデイジーの背中を見つめて、リナリアはため息をついた。
「わかりません。けれど、そうでなければ良いとは思っています」
「……ええ。クロエはね、顔の傷跡と纏う空気のせいで誤解されやすいけれど、本当に真面目で、良く働く良い子なのよ。これまで誠心誠意私に仕えてくれたあの子が恐ろしい陰謀に関わっているかもしれないなんて……そんなわけないわ。私はクロエを信じている」
デイジーはきっぱり言って、決然と立ち上がった。
「少し待っていてちょうだい。クロエを呼んでくるわ」
「デイジー様、私どもが呼んで参ります」
侍女たちが慌てたように進み出た。
「いいえ。私が行きます。これからクロエとリナリアがどんな話をするのかわからないけれど、その内容次第では、クロエはそのまま兵士に連行されてしまうかもしれないのでしょう? これが最後になるのかもしれないのだから、少しクロエと話をさせてちょうだい」
侍女たちにかぶりを振って、デイジーは部屋を出て行った。
(デイジー様のためにもクロエは無関係であって欲しいけれど……)
廊下の向こうへと消えたデイジーの背中を見つめて、リナリアはため息をついた。