花冠の聖女は王子に愛を歌う
「!!?」
 口づけに際して閉じていた目を開けると、アルカは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

「どうですか。唇を奪ってやりましたよ」
 ふふんと笑う。

「……酷い目っていうか、これはむしろご褒美じゃねえか?」
 アルカは唖然としている。

「そうですか。でも、ウィルフレッド様の妻になったら私はウィルフレッド様とキスをすることになります。もちろんそれ以上のことも。あんなことやそんなことも」
「………………」
 想像したらしく、アルカの顔色が蒼くなった。
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