花冠の聖女は王子に愛を歌う
(え? あれ? 別にそこまでしてくれとは――)

「リナリア・バークレイン。愛している。どうかおれの妻になってくれ」

 これ以上ないほどの真剣な顔でそう言って、アルカはリナリアの左手を取り、手の甲に口づけを落とした。

「……!!」
 目頭が熱くなる。
 胸は甘く痺れ、身体は歓喜に震えた。

(やっと言ってくれた)
 これこそ、リナリアが待ち望んでいた言葉だ。

「……はい。喜んで」
 泣きながら微笑むと、アルカは安堵したように笑って立ち上がった。

 自然と二人、手を伸ばして抱き合う。
 リナリアは彼の胸に濡れた眦を押し付けて言った。

「建国祭では私と一緒にダンスを踊ってくださいますね?」
「ああ。腹を括った。後で説教を喰らうのは覚悟の上で、大暴れしてやろう」

 リナリアたちは笑い合った。
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