花冠の聖女は王子に愛を歌う
(……アルカ様がここにいたらなあ)
二人の王子にエスコートされている現状はとんでもなく贅沢だとはわかっているが、それでも、リナリアの心はここにいない恋人を想ってしまう。
もしアルカがいたら、彼は着飾ったリナリアを見てどんな反応をしただろうか。
セレンが言った通り、バルコニーでの挨拶なんてボイコットして、結婚式を挙げようと言ってくれただろうか。
別にそこまで大げさな反応ではなくてもいい。
ただ一言、綺麗だと言ってくれたら。
それだけでリナリアはきっと、天にも昇るような心地になれたのに。
階段を上り切ったところで、リナリアは襟元に付けられた小さな丸いボタン型の《拡声器》を撫でた。
《拡声器》はその名の通り声を大きくする魔道具だ。
魔力は既に込められているため、あとはリナリアがスイッチを入れれば起動する。
二人の王子にエスコートされている現状はとんでもなく贅沢だとはわかっているが、それでも、リナリアの心はここにいない恋人を想ってしまう。
もしアルカがいたら、彼は着飾ったリナリアを見てどんな反応をしただろうか。
セレンが言った通り、バルコニーでの挨拶なんてボイコットして、結婚式を挙げようと言ってくれただろうか。
別にそこまで大げさな反応ではなくてもいい。
ただ一言、綺麗だと言ってくれたら。
それだけでリナリアはきっと、天にも昇るような心地になれたのに。
階段を上り切ったところで、リナリアは襟元に付けられた小さな丸いボタン型の《拡声器》を撫でた。
《拡声器》はその名の通り声を大きくする魔道具だ。
魔力は既に込められているため、あとはリナリアがスイッチを入れれば起動する。