花冠の聖女は王子に愛を歌う
「なんでアルルのことを知っているんですか?」
アルルのことは誰にも言っていないし、鞄の中でアルルはリナリアの言いつけを守り、極力動かずじっとしていた。
本当にアルルは聞き分けが良く、辛抱強い。
魔物であることが信じられないくらいに。
「それはな。君がダニーくんを守るべくコンラッド氏に立ち向かったとき、鞄から頭を出していたからだよ。君が興奮したコンラッド氏に殴られるのではないかと心配で堪らなかったのだろう」
「そうだったんですか……」
後でアルルに謝ろうと決めた。
「わかりました。質問の続きをどうぞ」
「天秤の皿に乗っている大勢の人間とウサギ――アルルくんというのかな。助けられるのは片方だけだとしたら、君はどちらを選ぶ?」
「アルルです」
質問の意図がわからないものの、リナリアは正直に答えた。
リナリアの返答が予想外だったのか、鞄の中でアルルが身じろぎした。
「ほう」
カミラは面白がるように唇の両端を上げた。
「君は万人よりアルルくんを選ぶのか」
アルルのことは誰にも言っていないし、鞄の中でアルルはリナリアの言いつけを守り、極力動かずじっとしていた。
本当にアルルは聞き分けが良く、辛抱強い。
魔物であることが信じられないくらいに。
「それはな。君がダニーくんを守るべくコンラッド氏に立ち向かったとき、鞄から頭を出していたからだよ。君が興奮したコンラッド氏に殴られるのではないかと心配で堪らなかったのだろう」
「そうだったんですか……」
後でアルルに謝ろうと決めた。
「わかりました。質問の続きをどうぞ」
「天秤の皿に乗っている大勢の人間とウサギ――アルルくんというのかな。助けられるのは片方だけだとしたら、君はどちらを選ぶ?」
「アルルです」
質問の意図がわからないものの、リナリアは正直に答えた。
リナリアの返答が予想外だったのか、鞄の中でアルルが身じろぎした。
「ほう」
カミラは面白がるように唇の両端を上げた。
「君は万人よりアルルくんを選ぶのか」