花冠の聖女は王子に愛を歌う
「王子は耳飾り以外、何も身に着けていない。その状態で魔法陣に入り、見守る皆の前で呪いが解けたらどうなる?」

「…………っ!!」
 エルザとリナリアは顔を真っ赤にした。
 メイドたちが顔を見合わせ、手にした獲物を下ろし、発動寸前だった魔法を消す。

 半壊した壺の上にいたイスカが、『やっとわかってくれた……』とでもいうように、ぐったりした様子で突っ伏し、長い耳を垂らした。
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