花冠の聖女は王子に愛を歌う
 神が自らその手で作ったとしか思えないほどの――非現実的なまでに美しい、芸術品のような青年がそこにいた。

 彼の左手首には赤い宝石のついた腕輪が嵌められている。
 身体の形状変化に伴い、耳飾りは腕輪へと変わったらしい。

「感想は?」
 左の腰に手を当て、どこか悪戯っぽい眼差しでイスカがリナリアを見つめる。

 リナリアはイスカを優雅で上品な紳士だと思っていた。

 エルザに聞いたセレンはまさに『絵本の中に出てくるような王子様』だったから、きっとイスカもそうだろう、と。

 しかし、こちらに向けられた表情を見る限り、どうやらイスカは想像とは全く違う性格だったらしい。
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