花冠の聖女は王子に愛を歌う
「なんだよ。おれと喋りたい、話したいことがたくさんあるって言ったくせに、なんで黙ってんだよ。なあ、せっかく人間に戻れたんだぞ、感想は? 格好良いとか、逆に期待外れとか、想像と違うとか、とにかくなんでもいいから何か言えよ。おれだけ浮かれて馬鹿みたいじゃねえか」
固まっているリナリアに焦れたらしく、イスカは腰から手を離し、どかっと腰を下ろした。
遠慮なく、リナリアの隣に。
距離の近さにまた心臓が余計な音を立てる。
「おーい? 貴女のアルルですよー? なーんて」
反応をどうにか引き出したいらしく、つんつん、とイスカが人差し指でリナリアの頬を軽く突《つつ》く。
肉球でリナリアの頬を叩いたウサギ型の魔物と、彼の印象がぴたりと重なった。
絶望的な気分で理解する。やはり彼はアルル――イスカなのだ。
(わ、私はこんな美しい人を抱きしめ、撫で回して、キスをして、はっ、裸を……裸を見せっ……)
身体がぶるぶる震える。できることなら気絶して、全てを無かったことにしてしまいたい。
「……か、格好良いです。あなたほど美しい方はこの世に存在しません、イスカ様。あなたが一番です」
「ありがとう」
イスカは嬉しそうに笑った。
固まっているリナリアに焦れたらしく、イスカは腰から手を離し、どかっと腰を下ろした。
遠慮なく、リナリアの隣に。
距離の近さにまた心臓が余計な音を立てる。
「おーい? 貴女のアルルですよー? なーんて」
反応をどうにか引き出したいらしく、つんつん、とイスカが人差し指でリナリアの頬を軽く突《つつ》く。
肉球でリナリアの頬を叩いたウサギ型の魔物と、彼の印象がぴたりと重なった。
絶望的な気分で理解する。やはり彼はアルル――イスカなのだ。
(わ、私はこんな美しい人を抱きしめ、撫で回して、キスをして、はっ、裸を……裸を見せっ……)
身体がぶるぶる震える。できることなら気絶して、全てを無かったことにしてしまいたい。
「……か、格好良いです。あなたほど美しい方はこの世に存在しません、イスカ様。あなたが一番です」
「ありがとう」
イスカは嬉しそうに笑った。