花冠の聖女は王子に愛を歌う
「……ああ。いまあいつがどんな状況かわかるか?」
イスカはためらうような間を置いて、エルザを見つめた。
「……ええ。ウィルフレッド様の妃選考会に出席するため、わたくしは王宮勤めを辞めましたが、セレン様の女官を務めている三人とはいまだ密に連絡を取り合っておりますの。率直に申し上げて、セレン様のご容体は芳しくないようです。彼女たちの話によると、セレン様はイスカ様が失踪してから、ずっと伏せったままのようですわ。セレン様にとってみれば、双子の弟がある日突然失踪してしまったのですもの。しかし、イスカ様はその存在を秘匿された身。どんなに心配でも、セレン様は声を上げることもできず、自ら探しに行くこともできない。セレン様のご心痛はいかばかりか……お察し申しあげますわ」
エルザは俯き、何か言いたげに口を開閉させた。
リナリアはそれが気になった。
(まだ何かセレン様のことで伝えたいことがあるのかしら?)
もしくは、言いたくても言えない何かが。
イスカはためらうような間を置いて、エルザを見つめた。
「……ええ。ウィルフレッド様の妃選考会に出席するため、わたくしは王宮勤めを辞めましたが、セレン様の女官を務めている三人とはいまだ密に連絡を取り合っておりますの。率直に申し上げて、セレン様のご容体は芳しくないようです。彼女たちの話によると、セレン様はイスカ様が失踪してから、ずっと伏せったままのようですわ。セレン様にとってみれば、双子の弟がある日突然失踪してしまったのですもの。しかし、イスカ様はその存在を秘匿された身。どんなに心配でも、セレン様は声を上げることもできず、自ら探しに行くこともできない。セレン様のご心痛はいかばかりか……お察し申しあげますわ」
エルザは俯き、何か言いたげに口を開閉させた。
リナリアはそれが気になった。
(まだ何かセレン様のことで伝えたいことがあるのかしら?)
もしくは、言いたくても言えない何かが。