花冠の聖女は王子に愛を歌う
「……そうか。セレンの容態は心配だが、いまはとにかく無事を確認できただけで良しとしよう」
イスカは目を伏せ、自分に言い聞かせるような口調でそう言った。
「おれはずっとセレンのことが気がかりだったんだ。あいつまで魔物に変えられていたらどうしよう、ほとんど寝たきりで動けないあいつが危害を加えられていたらどうしようと……王都で謎の女にセレンは無事だと言われたが、あの言葉は嘘ではなかったんだな」
「謎の女?」
興味を惹かれたらしく、イザークがオウム返しに尋ねた。
「ああ。おれはリナリアの鞄の中にいたから風貌は知らない」
イスカが視線を投げてきた。
リナリアなら知っているはずだと青い目が言っているが、リナリアは首を振った。
「それが、彼女は黒いローブを着込んでいて、目深にフードを被っていたため、風貌はわからなかったんです。ただ、声音と体型からして女性だったことは間違いありません。身長は私より少し高いくらい……そうですね、ちょうどエルザ様と同じくらいでしょうか。女性にしては少し低めの、落ち着いた声をされていました」
イスカは目を伏せ、自分に言い聞かせるような口調でそう言った。
「おれはずっとセレンのことが気がかりだったんだ。あいつまで魔物に変えられていたらどうしよう、ほとんど寝たきりで動けないあいつが危害を加えられていたらどうしようと……王都で謎の女にセレンは無事だと言われたが、あの言葉は嘘ではなかったんだな」
「謎の女?」
興味を惹かれたらしく、イザークがオウム返しに尋ねた。
「ああ。おれはリナリアの鞄の中にいたから風貌は知らない」
イスカが視線を投げてきた。
リナリアなら知っているはずだと青い目が言っているが、リナリアは首を振った。
「それが、彼女は黒いローブを着込んでいて、目深にフードを被っていたため、風貌はわからなかったんです。ただ、声音と体型からして女性だったことは間違いありません。身長は私より少し高いくらい……そうですね、ちょうどエルザ様と同じくらいでしょうか。女性にしては少し低めの、落ち着いた声をされていました」