花冠の聖女は王子に愛を歌う
「いやいや!! ですから、そんなわけがないんですよ!! 私なんかが聖女だなんて、そんなまさか――抜群に歌が上手いというのも褒めすぎですよ、イスカ様! 王子妃選考会では私より歌の上手な方がたくさん――」
「まあ、呆れた」
本当に呆れ果てたような表情で言ったのはエルザだ。
「リナリア、謙遜も行き過ぎると嫌味ですわよ? わたくしが断言して差し上げますわ。国中の歌姫が集まったあの場所で、あなた以上に歌が上手い女性など居ませんでした。あなたが歌いだした途端、会場の空気が一変したのを肌で感じなかったのですか。あなたを熱心に見つめる無数の瞳を、嫉妬と驚愕に満ちた他の歌姫たちの眼差しを、本当に感じなかったと?」
「……そ、それは……少しは感じましたが……」
身を縮める。
リナリアが歌い終わった瞬間、観客はもちろん、審査員たちまでもが立ち上がって拍手してくれた。中には涙を流している者までいた。
「まあ、呆れた」
本当に呆れ果てたような表情で言ったのはエルザだ。
「リナリア、謙遜も行き過ぎると嫌味ですわよ? わたくしが断言して差し上げますわ。国中の歌姫が集まったあの場所で、あなた以上に歌が上手い女性など居ませんでした。あなたが歌いだした途端、会場の空気が一変したのを肌で感じなかったのですか。あなたを熱心に見つめる無数の瞳を、嫉妬と驚愕に満ちた他の歌姫たちの眼差しを、本当に感じなかったと?」
「……そ、それは……少しは感じましたが……」
身を縮める。
リナリアが歌い終わった瞬間、観客はもちろん、審査員たちまでもが立ち上がって拍手してくれた。中には涙を流している者までいた。