花冠の聖女は王子に愛を歌う
ミストロークの街に真夜中を告げる鐘が鳴り響く。
リナリアは二階の客室で荘厳な鐘の音を聞いていた。
天鵞絨張りの長椅子に、美しい彫刻が施されたテーブル。
花の模様の壁紙に、花の形を模したシャンデリア。
ここが女性用の客室であることは一目で知れた。
自分が使うにはもったいないくらいの素敵な部屋だが、ヴィネッタはリナリアにこの部屋を使う許可をくれた。貴女は娘の恩人だから、いつまででも居てくれて良いと。
鐘が鳴り終わる前に、リナリアはドアノブを掴んで部屋を出た。
階段を下り切ったところで偶然ユマと会った。
「リナリア様。夜遅くに、どうされましたか?」
「イスカ様とお話がしたいのです」
「でしたら居間へお行きください。さきほどイザーク様と会話されているのを見かけました」
「ありがとうございます」
礼を言って、リナリアは居間へ向かった。
ユマの言葉通り、居間にはイザークとイスカがいた。
二人の前には紅茶が置いてあるが、中身は減っていないようだ。
「だから、いくら言われても無理なものは無理ですよ王子」
「ならお前はエルザが同じ目に遭っていても許せるのか?」
「それは……」
テーブルを挟んで向かい合い、何やら真剣な様子で話し合っていた二人は、リナリアを見るなり会話を打ち切った。
リナリアは二階の客室で荘厳な鐘の音を聞いていた。
天鵞絨張りの長椅子に、美しい彫刻が施されたテーブル。
花の模様の壁紙に、花の形を模したシャンデリア。
ここが女性用の客室であることは一目で知れた。
自分が使うにはもったいないくらいの素敵な部屋だが、ヴィネッタはリナリアにこの部屋を使う許可をくれた。貴女は娘の恩人だから、いつまででも居てくれて良いと。
鐘が鳴り終わる前に、リナリアはドアノブを掴んで部屋を出た。
階段を下り切ったところで偶然ユマと会った。
「リナリア様。夜遅くに、どうされましたか?」
「イスカ様とお話がしたいのです」
「でしたら居間へお行きください。さきほどイザーク様と会話されているのを見かけました」
「ありがとうございます」
礼を言って、リナリアは居間へ向かった。
ユマの言葉通り、居間にはイザークとイスカがいた。
二人の前には紅茶が置いてあるが、中身は減っていないようだ。
「だから、いくら言われても無理なものは無理ですよ王子」
「ならお前はエルザが同じ目に遭っていても許せるのか?」
「それは……」
テーブルを挟んで向かい合い、何やら真剣な様子で話し合っていた二人は、リナリアを見るなり会話を打ち切った。