花冠の聖女は王子に愛を歌う
(無理よ……絶対に)
ひやりとしたものが背中を突き抜けていった。
王宮には宮廷魔導師団も騎士団もいる。
いくらイスカが強くても多勢に無勢。
たった一人で突撃したところで返り討ちに遭うのが目に見えている。
「約束したからな、あいつが死んだらおれも死ぬって。おれたちは一蓮托生なんだよ」
イスカは笑っているが、リナリアはとても笑えない。
「……イスカ様の死をセレン様は望まれているのですか?」
青ざめて問う。
「いや。昔そう言ったら、頼むから止めてくれと懇願されたよ」
「でしたら、どうか――」
「でも、これはおれが決めたことだから。あいつがいない世界なんて、生きる意味がない」
イスカはリナリアの言葉を拒絶するように、きっぱりと言った。
双子には想像もつかないほどの強い絆があるらしい。
たとえリナリアが何を言おうとイスカは心を変えないだろう。
イスカの眼差しには揺るぎがない。
とうに覚悟を決めてしまっていた。
「……でも。私は……イスカ様に死んでほしくはありません」
「ありがとう。リナリアに会えて良かったよ。本当に」
イスカは微笑んだ。
ひやりとしたものが背中を突き抜けていった。
王宮には宮廷魔導師団も騎士団もいる。
いくらイスカが強くても多勢に無勢。
たった一人で突撃したところで返り討ちに遭うのが目に見えている。
「約束したからな、あいつが死んだらおれも死ぬって。おれたちは一蓮托生なんだよ」
イスカは笑っているが、リナリアはとても笑えない。
「……イスカ様の死をセレン様は望まれているのですか?」
青ざめて問う。
「いや。昔そう言ったら、頼むから止めてくれと懇願されたよ」
「でしたら、どうか――」
「でも、これはおれが決めたことだから。あいつがいない世界なんて、生きる意味がない」
イスカはリナリアの言葉を拒絶するように、きっぱりと言った。
双子には想像もつかないほどの強い絆があるらしい。
たとえリナリアが何を言おうとイスカは心を変えないだろう。
イスカの眼差しには揺るぎがない。
とうに覚悟を決めてしまっていた。
「……でも。私は……イスカ様に死んでほしくはありません」
「ありがとう。リナリアに会えて良かったよ。本当に」
イスカは微笑んだ。