総長様は溺愛も暴走する
そう思っていると、不意に悠くんが私を見た。
「にしても、可愛いね、初歌ちゃん」
「か、可愛い…?」
感謝よりも、疑問が先に出た。
私はこんな見た目だし地味だし…可愛いなんて言われたこともないのに…。
ボブヘアーにメガネの地味子なんて、お世辞にも可愛いとは言えないはず。
「お前、目玉腐ってんのか?」
こころなしか、赤星さんも呆れ気味。
「え?可愛いじゃん。初歌ちゃんの目、明るい茶色でくりっとしてて、メガネで隠れてるけど可愛くない?」
「理解できねー…」
か、可愛いなんて、分不相応な名称…。
でも、2人の会話を見ていると、赤星さんもなんだかんだ言って悠くんに気を許しているみたいで、そんなに怖くないのかな、なんて思ってしまう。
目を合わせるのは怖くて、できないけれど…。