総長様は溺愛も暴走する
お父さんは今の会社でキャリアを積んで、重要なお仕事を任されている最中らしい。
私のワガママでお父さんを困らせるわけにはいかない…!
『初歌ったら…気をつけるのよ。あんたは喧嘩なんてしたことないんだから』
「うん。わかった。2人共、喧嘩からは遠ざけてくれるらしいし、私も身を守れるように気をつけるよ。」
『一応、今はそれで妥協しておくわ。そろそろ課題の提出がヤバいから切るわね』
「うん。バイバイお姉ちゃん。」
『バイバイ初歌』
お姉ちゃんのその優しい声を最後に、電話はぷつりと切れる。
お姉ちゃん、どうしてそんなに暴走族に詳しいんだろう…。
さすが、お姉ちゃんだ…。
私は心のなかで、そう思っていた。