総長様は溺愛も暴走する
笑顔だった先生がすっと心配そうな表情になるのが見えて、私の心臓も嫌な音を立てる。
昨日から浮かれていた気分が、するするとしぼんでいくような心地だった。
「このあたりには暴走族が多くてね…特に最近は朱華と浪花っていう暴走族が有名になってきて…その2つが急に活動を活発にし始めたんだよ」
「え…?そう、なんですか…?」
「うん。ちょうど、昨日の夜くらいから。」
それって、まるで、私が悠くんと話した後みたいな…。
「最近では昔からあった女の子の暴走族も再興したって聞くし…朝早くに来て、巻き込まれていないか心配になったんだよ」
「そう、ですか…。」
「巻き込まれた?」
心配そうに顔を覗き込まれて、慌てて首をふる。