総長様は溺愛も暴走する
悠くんは眉を下げて、少し悲しそうに微笑んだ後、表情を変えて私の後ろの紅蓮くんを見る。
その表情は見たことがなくて…怒ってるみたいに見えた。
「…赤星」
「何だ」
紅蓮くんも、こころなしか教室にいたときよりも刺々しい態度で悠くんに接しているみたい…。
「…初歌ちゃんに免じて、今回は一旦終わりにする」
周りも初歌ちゃんの登場で戦意喪失したしね。と悠くんはわざとらしく笑う。
そして立ち上がり、私の後ろの紅蓮くんを見据えたまま、ゆっくりと歩みを進めた。