総長様は溺愛も暴走する
私はこの夏休みまで、両親と姉の都合でアメリカで過ごしていた。
アメリカの友達はみんなグイグイ行く子達で…私はいつも引っ張ってもらっていたんだ。
でも、そんなんじゃダメだと気づいたの。
『引っ張られるだけじゃダメ。初歌、あんたは誰より可愛いんだから、胸張って生きなさい』
大人びた笑み、自身に満ちた立ち居振る舞いで、そう言ってくれたのは、私の血の繋がらないお姉ちゃん。
だいぶ年上で、もう成人している舞華お姉ちゃんは、私とは真逆の存在。
明るくて、優しくて、活発で、人気者のお姉ちゃん。
ずっと憧れてきて、だけど自分にはなれないと諦めてきた姿だった。
でも、日本に帰国することになって、私が中学校を選ぶ時、お姉ちゃんからそう言われたんだ。
なりたい。お姉ちゃんのような、立派な人に。
そう思って、お姉ちゃんの母校のこの学校への転入を決めた。