総長様は溺愛も暴走する



「向こうにあるのが幼稚舎、初等部校舎。さっき行ったところが高等部の校舎、その向こうに大学の校舎…。ここから東に行ったところが小さい子たちの寮で、高等部の寮は確か中等部と併合している…。大学は敷地内にあるから行けない。」




中等部の敷地をなぞるように、私はぐるっと敷地内を歩いて探索していた。


口に出して覚えることで、覚える効率も上がる…と思う。




とりあえず、中等部以外の校舎に入ることはしばらくないだろうから、入らなくても大丈夫かな…。




私は最後に、中等部の敷地の最北端にある、とある場所に目を向ける。




…なんとなく、怖くて、後回しにしていたけれど…。






そこにあるのは、おどろおどろしい雰囲気を纏う旧校舎。


中等部は昔、この校舎を使っていたらしいんだけど…生徒数が増えて、入り切らなくなったから、現在の校舎に移設したらしい。



旧校舎を建て替える工事もできるはずなんだけど…どうしてか、撤去されていない、中等部の廃墟。




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