総長様は溺愛も暴走する
ビュウ、と風が吹いた気がした。
「ひっ…!」
旧校舎は暗くて、寒い。まだ秋の初めだというのに、風は吹雪のように冷たかった。
「や、やっぱり出よう…!」
人が居ないからか、旧校舎はよけいに怖い。
まぁ、私が怖がりなだけかもしれないけど…。
お姉ちゃんなら、『面白いねー!』なんて言って、入っていってしまうんだろうけど。
…そういえば、この学校は、お姉ちゃんの母校だった。
なら、本当にやってしまっていても、おかしくないかもしれない…!
姉の知られざる歴史を知りそうになってしまったところで、それでも怖い、と戻ろうとしたその時だった。