総長様は溺愛も暴走する
そう願い、震える足を叱咤して、階段を登る。
そのたびに笑い声とか、打撃音とかが、大きくなってきて、息を殺して、身を縮こませて歩く。
そして、階段を最上階まで登りきったときだった。
「こんな簡単な策にハマるとか…“朱華”総長も大したことねーな!」
それと同時に、階全体に響き渡る笑い声。
その言葉に、身を固くする。
もしかして、もしかして。
あの人達に、殴られているのって…「朱華」の総長なの?
「朱華」って、あの…武闘派の、暴走族の?
しかも、あの人達…「策」って言っていた…。
罠にはめて、袋叩きにしているってこと…?