愛しの彼女と総長様




先生は教室に行くついでのように、校舎の中を案内してくれる。


外から見ていても思ったけれど、中も…やっぱり、お城みたいっ…。

作りも複雑だし、覚えられるかな…?


先生は迷うことなく校舎の中を進みながら、私に声をかけてくれる。



「初歌さん、アメリカにいたんだよね、すごいね!英語とか得意なの?」

「は、はいっ…日常会話程度は…」



とか、




「転入試験、どうだった?」

「え、えっと…その…」

「こんなに高得点で試験合格した子、初歌さんが初めてだよ!」

「あ、ありがとうございます…」




とか。


先生はたくさん話しかけてくれるのに、私がろくに返答もできないせいで、会話が続かない。


うぅ…我ながら、人見知り過ぎるよ…。



先生にもろくに返事できない自分に呆れながら、私は先生の後を追い、教室に行く。
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