総長様は溺愛も暴走する
「…なんで、俺を助けた?」
心底不思議そうに、警戒しながら聞いてくる赤星さん。
なんで…う〜ん、なんでかぁ…。
「困っている人を助けるのは人として当たり前のことですし…臆病な自分は、嫌いだったので。それに、ごめんなさい」
「なんで、お前が謝る?」
今度こそ心から不思議そうに、コテン、と首を傾げる赤星さん。
だ、だって…
「……私、殴られているときも近くにいたんです。なのに、止めようとしなかったから…」
もし、止められていたら、この傷のいくつかはなかったかもしれないのに…。
あの時勇気を出せなかった自分が情けない。
私、こんなに非情な人間だったんだな…。