総長様は溺愛も暴走する
しばらくして時計を見ると、もう1時間近く経っていた。
今日は学校が終わるのが早かったから、まだ空はオレンジに染まっていない。
だけど、西側の空はほんのりと暖色系の光をまとっていた。
そろそろ、終わりにしようかな…。
そう思った時、紅蓮くんのスマホが鳴った。
「紅蓮くん、紅蓮くん、起きて」
「んん〜…初歌…何だ…?」
「電話みたいだよ」
寝ぼけ眼をこすりながら、紅蓮くんは私の指の先にあったスマホを手に取る。
そして、画面を見て、額にシワを寄せた。