総長様は溺愛も暴走する
茶化すような声がそう告げて、電話が切れた。
紅蓮くんは青筋を立てて「あのバカ…」と呟いていた。
こ、怖いっ…。
「ぐ、紅蓮くん、大丈夫…?」
「別に、害があるってわけじゃねぇけど…それじゃ、来い」
「え、えっ?」
来い?
私が戸惑っている間に、紅蓮くんはさっとしゃがみ込み、お姫様抱っこの体勢で私を軽々と持ち出した。
「ちょっ…ぐ、紅蓮くん!誰かに見られたら…!」
「別にいーだろ、見られても」
紅蓮くんの評判が…!
頬にカアッと熱が集まる。
そんな私にからかうような微笑みを向ける紅蓮くんは、全く動じてない。