総長様は溺愛も暴走する
「わ、悪ぃ…。兄貴も暴走族やってたんだけど、自転車の進化版って言ってて…」
「そ、そうなの…⁉とりあえず、これからはもう乗らないでね…!」
紅蓮くんは目を見開いたまま、コクリと頷く。
なんだかその様子が小さな子供のように見えて、私は頬を緩ませてしまった。
「バイクが使えないなら、歩きで行くか…。ほら、行くぞ、初歌」
え…?
「わ、私も行くの…?」
「まぁ、そう。あいつらに紹介する。変な奴らがお前を狙わないように」
「うっ、うん…!ありがとう…?」
「どーも」
歩いていけるのかな、とも思ったけれど、どうやら紅蓮くんが行き来しやすいように、最近はここの近くで集会をやっているみたい。
私は小走りで紅蓮くんに近づいて、彼の…朱華の集会場所に向かった。
* * *